pregnant [形] 妊娠した、意味深長な

学生時代、シアトルで3ヶ月過ごしたことがある。最初の1ヶ月こそ、現地の英語学校に通ったが、そこには日本人のにわか留学生(自分も似たような立場だけど)が多数いて日本語が溢れかえっていた。

「このままではダメだ、街へ出よう」と思い、残りの2ヶ月はキングスドーム(←シアトルマリナーズの昔の球場)で野球観戦したり、バンクーバーやバンフまで足を延ばして自然を満喫したりした。そうこうしているうちに、昼間からビールを飲んでいたせいか、それともマクドナルドのアメリカンサイズのコーラを飲んでいたせいか、やや太り気味に。

「このままではダメだ、運動しよう」と思い、最後の1ヶ月はシアトルのスポーツクラブに入会した。入会時、若くきれいで健康的なブロンドのお姉さん(インストラクター)から、ちょっぴり緊張した面持ちでアンケート用紙を受け取り、「目的は?ダイエットしたいのか、それとも筋力をつけたいのか」「鍛えたい部位は?」「ケガしているところはないか?」などの質問に英文を確認しながらたどたどしく記入していく。当時でもある程度の英文は読みこなせると思っていたのだが、最後の質問の意味が分からない。辞書も手元にない。

Pregnant ? □Yes □No

(分からないことは質問しよう、聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥。おどおど質問してはダメだ、堂々と)というわけで、若くきれいで健康的なブロンドのインストラクターに聞いた。堂々と。

Could you tell me what this word means ?

Don't worry, check "No".

(心配はしてないけど、言葉の意味を知りたいだけなんだけど)I just want to know the meaning of the word. という質問が喉まで出掛かったが、若くきれいで健康的なブロンドのインストラクターの笑顔の中にほんの少し、意味深長な間(pregnant pause)が垣間見え、その質問を飲み込んだ。

恥ずかしい思いをしたのは、スポーツクラブのシャワーで汗を洗い流し、アパートに帰って、電子辞書にその単語を打ち込んだ直後だった。

(2005/7/22, 宮下)

rumble [動] (遠雷などが)ごろごろと鳴る

甲子園の季節がやってきた。

今でこそ楽天の試合を観に宮城フルスタへ足を運ぶが、野球観戦の原点は甲子園だった。その地で初めて高校野球を観たのは、1998年夏。準々決勝でPL学園との延長17回の戦いを制し勝ち上がった横浜と、強打で他校を圧倒する明徳との試合だった。

初めての甲子園観戦が横浜対明徳。まるで最初に付き合った女性が黒木瞳だった、みたいな幸運だ。しかし、横浜のエース・松坂は前日17回を投げぬき、もはや投げられる状態ではなくレフトの守備位置に。

試合のほうは、序盤こそ無得点に甘んじていた明徳打線が中盤、横浜の控えピッチャーに襲いかかる。それでも松坂は登板しない。8回表に明徳が追加得点を奪い、横浜は0-6とリードされる。この時点では誰もが明徳の勝利を確信しただろう。しかし・・・。勝利こそが第一目的だったはずの明徳ナインだが「松坂の投げない横浜に勝っても」という思いがあったのだろうか、8回裏、一瞬の隙をつき横浜が連打を浴びせて4点を奪う。そして、2アウトとなったときブルペンには軽く投球練習をする背番号1がいた。

「ピッチャー松坂くん」

9回表、ついに登板。歓声、いや、地鳴り(ground rumbling)が球場を包み込む。松坂の鮮やかな右腕のしなりと重低音の歓声が共鳴して明徳の攻撃は3人で終わる。そして、その裏の逆転劇を引き起こした。

明徳 000131010 6
横浜 000000043 7

Reverse the situation.
(劣勢な)状況を跳ね返せ

(2005/7/11, 宮下)